日曜礼拝(2015年12月27日)
日曜礼拝(2015年12月27日)
   年末感謝礼拝(降誕後第一)    2015.12.27

「もったいないが合言葉」 ルカ17:11〜19

 T導入部
 おはようございます。12月の最後の礼拝、2015年の最後の礼拝となりました。今日も愛する皆さんと共に礼拝をささげることができましたことを感謝いたします。1月4日の2015年最初の礼拝から2015年の最後の今日の礼拝まで、毎週の礼拝が守られてきました。クリスマスの全ての諸行事が終わりました。皆さんのお祈りとご奉仕と参加に心から感謝いたします。
 キャンドルライトサービスのお話しで、今年のクリスマス25日は、満月で、クリスマスの満月は、19年に一回ですから、次回は2034年で、そこまで生きていないという人は、ぜひ満月をご覧くださいとお話ししたのですが、25日の夜は雨が降っていました。教会では、JF(洗礼を受けた子どもたちの会)の会があり、お風呂に行く時間外に出ましたら、雨が降っていました。「キャンドルライトサービスで満月を見て下さい、と言ったけれども雨だね!」と話していたのですが、その後雨が上がって遅くには満月が見られました。私は、午前1時前でしたが、教会を出た時、満月を見て、19年後見られないかも知れませんので、記念に写真に撮りました。
 2015年の全ての行事が終わりました。今日の年末感謝礼拝と水曜日の年末感謝祈り会で、2015年が終了します。2016年は、1月1日から元旦礼拝です。2016年の最初の日、礼拝を守ることから始めたいと思います。
 さて、2015年最後の礼拝、年末感謝礼拝の説教は、「もったいないが合言葉」と題して、ルカによる福音書17章11節から19節を通してお話ししたいと思います。
 
 ノーベル平和賞受賞者でケニア元環境副大臣のワンガリ・マータイさん(故人)が日本語の「もったいない」を環境保護の合言葉として、世界に広めておりました。
 また、滋賀県知事の嘉田(かだ)由紀子氏は、『もったいない』を合言葉に2006年(平成18年)滋賀県知事選挙に出馬しました。この『もったいない』は、新幹線新駅の建設凍結、滋賀県内に計画されているダムの凍結を見直して、旧志賀町に予定している廃棄物処分場の中止などを主張しての出馬になりました。女性の知事の誕生は、全国で5人目となる知事になりました。
 今日の説教題の「もったいない」はちょっと意味が違います。勿体ないの言葉の意味の中には、「身に過ぎておそれ多い。かたじけない。「勿体ないおほめのお言葉」」という意味や「ありがたい」という意味があります。ですから、もったいない、ありがたいが合言葉、神様の恵み、憐れみにありがたいと感謝をささげることを合言葉にという意味での今日の説教題になりました。


 U本論部
 一、聖書の言葉に従うことは信仰の第一歩
 日本には、姥捨て山というお話があります。年を取って役に立たなくなった老婆を捨てる山のお話しです。今日出てくる重い皮膚病をわずらった10人も、家族から引き離されて、一般の人々からは隔離された場所で生活をしていました。その彼らの隔離された場所の近くをイエス様は通られたのでしょう。11節には、「サマリアとガリラヤの間を通られた。」とあります。
 ヨハネによる福音書4章4節を見ると「サマリアを通らねばならなかった。」という言葉が出てきますが、イエス様はサマリアで苦しんでいる女性に会い、彼女を救うために、ユダヤ人は通らないというサマリアに行かれたのでした。今回も、「サマリアとガリラヤの間を通られた。」とあるように、苦しんでいる者を救うために、イエス様はお通りになられたのだと思うのです。
 10人の重い皮膚病の一団の構成は、ユダヤ人9人とサマリア人1人でした。ユダヤ人は絶対にサマリア人とは交際しませんでした。ユダヤ人は、サマリア人を見下していたのです。けれども、同じ重い皮膚病という病のゆえに、苦しみや悲しみを経験したがゆえに、普段では絶対に行動を共にするはずのないユダヤ人とサマリア人が共にいたわけです。
重い皮膚病というのは、当時では治る見込みのない病気で、伝染すると考えられ、汚れた者というレッテルを貼られ、社会的にも、信仰的にも、差別されて、希望と将来のない人生を送っていたのです。
 そのような10人がイエス様のうわさをきいたのでしょう。重い皮膚病さえいやすことのできるお方と。彼らは遠くからイエス様に向かって叫んだのです。皆さんと共に13節を共に読みましょう。「声を張り上げて、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください。」と言った。」
 イエス様は、10人の重い皮膚病を患っている人々を見ました。その姿を見るだけで、彼らの状況と心情をイエス様は理解しました。彼らの苦しみと痛みをイエス様はわかって下さるのです。イエス様は、10人に、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言われました。
 旧約聖書レビ記13章、14章には、皮膚病や重い皮膚病に関する規定があり、その人が皮膚病であるかどうか、隔離すべきかどうか、治ったかどうか、を判断するのは祭司の仕事でした。イエス様は律法に従って、そのように祭司に見せるように語ったのです。
 ルカによる福音書5章12節、13節には、イエス様は同じように重い皮膚病の患者に対して、直接体に触れて、その場で癒されたことが記されています。ではなぜ、この10人には、直接触れて、直ぐに癒されなかったのでしょうか。手を触れていやすことができたはずです。イエス様は差別をするお方ではありません。10人の中にサマリア人がいるからと直接触れて癒さなかったのでもありません。そこには、イエス様のお心、お考えがあったのです。
 そして、この10人は、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」というイエス様の言葉に従うのです。行動したのです。私たちも、時には意味の分からないことがありますが、イエス様の言葉、聖書の言葉に従いたいと思うのです。

 二、イエス様は私たちの信仰を引き出される
 まだ、治ってもいないのに、祭司に見せに行くというのには、勇気がいります。信仰が必要です。そこには、疑いや不確かさというものもあったでしょう。イエス様は、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」という言葉を通して、信じることを求められたのです。信仰を試されたのです。そして、イエス様の言葉を信じて行動して10人は、10人とも完全に癒されました。イエス様の言葉、神様の言葉、聖書に従うことは、信仰の第一歩です。聖書を見ると、10人癒されたのですが、イエス様に感謝するために帰ってきたのは、1人だけでした。そしてその一人はサマリア人だったのです。皆さんと共に17節、18節を共に読みましょう。「そこで、イエスは言われた。「清くされたのは、十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか。」」
 サマリア人は一人だけ感謝して戻って来ました。何故戻って来たのでしょうか。イエス様の言葉は、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」という言葉でした。9人のユダヤ人は、重い皮膚病が癒されたことを体で感じ、見えると所においても癒されたことを確信しました。祭司の「清められた」という言葉をいただかなければ癒されることにはならないので、9人は祭司の所に行きました。サマリア人が感謝したように、9人のユダヤ人も感謝したでしょう。喜び、神様をほめたたえたでしょう。癒して下さったイエス様に感謝を表したいと思ったでしょう。後でいくつもりで、祭司の所に急いだのかも知れません。感謝がなかったわけではありませんが、感謝するためにイエス様の所には行きませんでした。
 けれども、サマリア人は癒されたことを本当に感謝したでしょう。他の9人のユダヤ人は、神様に選ばれた選民だから癒されるのは当然かもしれない。けれども、サマリア人の自分は、選ばれた民でもない。にもかかわらず、自分も癒された。神様の憐れみは、選民ユダヤ人だけではなく、異邦人の、サマリア人の私にも与えられた。恵みが及んだと感謝に満たされたのです。こんな私にも、目を留めて下さっただけではなく、重い皮膚病を癒して下さった。何とありがたい、感謝の言葉を伝えたい。他の9人と共に祭司の所に行く予定だったけれども、後回しではなく、先に感謝したい。ありがとうと言葉を言いたいと、居ても立っても居られず、神様を賛美しながら、感謝をささげながらこのサマリア人はイエス様の所に帰って来て、イエス様の前にひれ伏したのです。
 先ほどは、遠くから「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください。」と言って、イエス様の顔はあまりわからなかった。しかし、今目の前に、癒して下さったイエス様の顔を見上げて、さらに喜びと感謝が満ち溢れたのです。
 イエス様は、「ほかの九人はどこにいるのか。」と言われました。当然、祭司の所でしょう。でも、イエス様はその場所で待っておられたのです。10人癒したけれども、1人だけしか帰ってこなかった。けれども、癒されて感謝して、賛美しながら帰って来たサマリア人を見て、イエス様は、このサマリア人が喜んでいる以上に喜ばれたのだと思うのです。
 私たちは、神様に祈り願い答えられた後、感謝することを後回しにしたり、忘れてしまったりすることがあります。私たちは、問題や苦しみから助けて下さいと祈る、その情熱をもって、神様に感謝したいと思うのです。
 
 三、感謝と賛美は全自動
 19節を共に読みましょう。「それから、イエスはその人に言われた。「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」」
 「救った」という言葉が出てきました。重い皮膚病が癒されたことはや清められたことは、イエス様が言う、聖書が語る「救われる」ということと同じではないことを示しています。
 10人が10人とも癒されました。清められました。しかし、イエス様に感謝するために戻って来た彼に救いの宣言をされた。神様を賛美する人生、感謝する人生こそ、救いの人生であることを聖書は示しています。病気が治ったから感謝する、いいことがあったから神様を賛美するというのではなく、自分の今までの人生、これからの人生、今自分が置かれた場所で、多くのマイナスがあるかも知れませんが、それを神様がプラスにして下さると信じて、自分の人生を受け入れ、今置かれた立場や状況を受け入れて、神様に信頼する、お任せして生きることに、そこにこそ、神様に対する賛美、イエス様に対する感謝が起こるのだと思うのです。
 良いことがあるから神様に感謝する、成功したから神様に賛美するということは、悪いことがあれば、神様に不平不満を言うということになり、失敗したら自分の人生を恨み、神様を恨むということになります。神様を感謝する、神様を賛美するということは、人と自分を比べてとか、人や物事や事柄に対しての反応、応答ではなくて、自分のマイナスの状況をも神様が許されていることを受け入れ、その自分が環境に関係なく、人と比べることなく神様に愛されていること、神様に守られていること、神様に支えらえていることを信じていくことだと思うのです。
 ユダヤ人9人とサマリア人1人の10人のグループは、重い皮膚病の自分たちを憐れんで下さいと切に願いました。けれども、癒された後、9対1というように、癒される前の状態に戻りました。9人のユダヤ人は癒される前にはイエス様との関係を求め、必要を感じました。けれども、癒された病気が治った9人のユダヤ人は、イエス様との関係を切り、イエス様を必要としなくなったのです。
 しかし、1人のサマリア人は、癒される前にイエス様との関係を求め、必要を感じました。そして、癒された、病気を治していただいた後も、イエス様との関係を求め、さらにイエス様を必要としたのです。神様との関係が回復し、帰るべきところ、自分のおるべきところを見出したのです。だからこそ、急いで、喜んで、賛美してイエス様の所に戻って来たのです。
 神様に対する感謝や賛美というものは、感謝しましょう。賛美しましょうと義務的に行うのでもなく、律法的に、強制的に感謝しなければならない、賛美しなければならない、というものではありません。こんな罪深い私にも神様の目が止められた。こんな罪びとを覚えて下さった。十字架の上の強盗ですね。同じように、私たちも、私たち一人ひとりを愛して、罪を赦し、魂を救うために、神であるお方、イエス様が十字架にかかって死んで下さったこと、そして、イエス様が死んでよみがえることにより、私たちの永遠の命、復活の命を与えて下さった。こんな罪深い私を神様は愛して下さった。そこに、神様に対する感謝と賛美があふれ出てくるのだと思うのです。

 V結論部
 今日洗礼を受けられる、(受けられた)中西弘子姉は、神様に対する感謝と賛美が満ちあふれておられることでしょう。感謝するなと言われても感謝が溢れるのだと思うのです。
 イエス様は、「清くされたのは、十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか。」と言われましたが、9人
は感謝が足りない。不信仰だ。けしからんと9名ばかりに目を留めたのではありません。
 賛美し、感謝するために戻って来たたった1人のサマリア人に目を留め、彼の喜びをご自分の喜びとされ、「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」と言われたのです。
 私たちの2015年の1年の歩みはどうだったでしょう。辛いことや苦しいこと、悲しいこと、マイナスばかりに目が行く、覚えているということかも知れません。けれども、この1年間、イエス様はあなたと共におられました。苦しい時も悲しい時も、辛い時も痛い時も共におられ、あなたが倒れた時、あなたを背負って下さった。抱きしめていて下さったのです。人と比べてどうかではなく、神様が私たち一人ひとりに目を留めて下さり、共に歩んで下さったこと、命を懸けて私たちを救い、復活の命を与えて下さったこと、数えれば多くの恵みと感謝があります。私たちは、その恵みと憐れみを考えたなら、自然にイエス様に感謝と賛美が出てくるのだと思うのです。
 私たちは、残された2015年の日も、新しい2016年も、イエス様に目を留め、イエス様に期待して歩ませていただきたいと思うのです。恐れることはない。大丈夫、いつもわたしがあなたのそばにいてあなたを守る。そう言って下さるイエス様にすべての事をお委ねして歩ませていただきましょう。ありがとう、感謝を合言葉として歩んでまいりましょう。
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